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【森友問題】会計検査院の検査結果は?(Part-5)

財務省(手前)と会計検査院が入居する中央合同庁舎第7号館(奥)

財務省(手前)と会計検査院が入居する中央合同庁舎第7号館(奥)

今回は、前回に引き続き、森友問題に対する「会計検査院の検査結果は?」に関する記事です。

 

本シリーズでは、

  • 財務省による公文書改ざんの関係は?
  • 会計検査院は、どのような検査を行ったのか?
  • 土地代金の妥当性は?8億円の値引きについては?

といった内容について、会計検査院の公表資料をもとに、解説しております。

 

では、早速、見ていきましょう。

 

出典:「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査院の検査結果について」(平成29年11月報告)に係るその後の検査について

https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/29/pdf/301206_sonogo_01.pdf

 

(前回までの記事はこちら)

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会計検査院が検査対象とした事項

 

それでは、会計検査院は、どのような事項を検査したのでしょうか。

 

主な検査事項は、以下のとおりです。

 

  1. 決裁文書改ざんの実態
  2. 国有地の貸付や売却の経緯
  3. 国有地の貸付価格や売却額の妥当性
  4. 職員の懲戒処分の妥当性

 

上記1~3までについては、前回までの記事で説明しております。

 

今回は、上記4「職員の懲戒処分の妥当性」について、説明したいと思います。

 

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まずは、会計検査院の報告概要を見てみましょう。

 

財務省において、会計検査院法第26条の規定に違反すると認められる事態に関与 した会計事務職員については、既に退職していて懲戒処分の要求の対象外であったり、既に本件事態について任命権者から懲戒処分を受けていたりなどしているため、懲戒処分の要求は行わない。 (57~58ペー)

 

国土交通省において、行政文書として保存されていないものも含めて交渉記録を 提出するよう要求を受けていたことを認識していなかったため、交渉記録の提出がなかったことについては、同法第26条の規定に違反するとは認められない。 (59ページ)

 

つまり、会計検査院からの懲戒処分の要求はなかったということです。

 

以下、詳しく見ていきたいと思います。

 

 

財務省職員」の懲戒処分について

上記のとおり、会計検査院は、「すでに退職した者」と「すでに任命権者から懲戒処分を受けている者」については、懲戒処分の要求を行わないこととしています。

 

これについて、会計検査院は、以下のとおり理由を述べています。

 

国家公務員法(昭和22年法律第120号)に基づく懲戒処分は、行政上の処分であるから憲法第39条が刑罰について規定した一事不再理の原則がそのまま適用されるわけではないが、不利益を課する罰であるからできるだけその趣旨は取り入れられるべきであると解されており、人事院によれば、懲戒処分について、法の適用を誤った場合、著しく客観的妥当性を欠き明らかに条理に反する場合、重大な事実の誤認のあることが処分後に明らかになった場合等、特殊な事情があるときを除いて、単にその裁量において軽きに失したことを理由としてこれを取り消し、または取り消すことなく同一事件について再度懲戒処分を行うことはできないものと解するとされている。 

 

つまり、「懲戒処分の後」に上記のような特殊事情が明らかとなった場合において、再度の懲戒処分を行うことが可能としています。

 

 

本件では、そのような事実は、確認できなかったので、会計検査院からの懲戒処分の要求は行われなかったということです。

 

ちなみに、以下のページでは、公務員の「懲戒処分」について、「一事不再理の法理」が適用されるかについての判例が掲載されています。

 

判例東京地判H23.8】 懲戒処分に一事不再理の法理(二重処分禁止)が適用される場合とは

http://www.koganemaru-jinjiroumu.com/announce_10351.html

 

 

国土交通省の職員」の懲戒処分について

 

航空局の対応について、会計検査院は、以下のとおり整理しています。

 

会計検査院は交渉記録について提出を要求していたが、当該要求に対応した空港業務課の職員は、会計検査院から行政文書として保存されていないものも含めて交渉記録を提出するよう要求を受けていたことを認識していなかったとしている。

そのため、実際には航空局で上記目的のために保管していた関係書類一式の中に職員の
手控えとして残されていた交渉記録が含まれていたものの、これを確認せずに、交渉記録の行政文書としての保存期間は1年未満となっており、これを作成していたとしても、本件土地の売買契約終了後等に廃棄することとされていたことから、行政文書として管理している交渉記録は確認できなかった旨を会計検査院に回答したとしている。

 

 

そして、上記については、会計検査院は、「故意または重大な過失があったとは認められない」として、違法性がないと判断しています。

 

会計検査院が提出を要求した時点で、交渉記録が行政文書としては存在しないと考
えていたこと、会計検査への対応は行政文書に基づいて行うことが航空局内において一般的な基本認識であったことなどを考慮すると、交渉記録を会計検査院に提出しなかったことについて、故意又は重大な過失があったとは認められない。

 

 

本日の記事は、ここまでです。

 

明日の記事では、本シリーズ「【森友問題】会計検査院の検査結果は?」の総まとめ記事を発信予定です。