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【森友問題】会計検査院の検査結果は?(Part-2)

財務省(手前)と会計検査院が入居する中央合同庁舎第7号館(奥)

財務省(手前)と会計検査院が入居する中央合同庁舎第7号館(奥)


今回は、前回に引き続き、森友問題に対する「会計検査院の検査結果は?」に関する記事です。

 

本シリーズでは、

  • 財務省による公文書改ざんの関係は?
  • 会計検査院は、どのような検査を行ったのか?
  • 土地代金の妥当性は?8億円の値引きについては?

といった内容について、会計検査院の公表資料をもとに、解説しております。

 

では、早速、見ていきましょう。

 

出典:「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査院の検査結果について」(平成29年11月報告)に係るその後の検査について

https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/29/pdf/301206_sonogo_01.pdf

 

(前回の記事はこちら)

sato-shun.hatenablog.com

 

会計検査院が検査対象とした事項

 

それでは、会計検査院は、どのような事項を検査したのでしょうか。

 

主な検査事項は、以下のとおりです。

 

  1. 決裁文書改ざんの実態
  2. 国有地の貸付や売却の経緯
  3. 国有地の貸付価格や売却額の妥当性
  4. 職員の懲戒処分の妥当性

 

上記1「決裁文書改ざんの実態」については、前回の記事で説明したとおりですので、今回は省略します。

 

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今回は、上記2「国有地の貸付や売却の経緯」について、説明したいと思います。

 

国有地の貸付・売却の手続き

 

売却の相手方を決定するにあたっての手続き

 

国有地売却にあたっての一般的な流れ

 

国有地を売却する場合は、公共性の高い団体から、購入の希望を募ります。

 

そこで、購入希望者が現れた場合、希望者の審査を行い、希望者が複数の場合は、入札等を行って、売却の相手方を決定します。

 

国の場合は、上記の「購入希望者の決定」を、購入の希望を受付から2か月以内に決定するよう、通達で決められています。

 

この制度は、審査期間が長くなることによって、本来、有効に利用できるはずの土地を放置状態となることを避ける目的で定められたものです。

 

しかし、森友学園の場合、本来、受付開始から「2か月まで」とされているところ、結果的に「1年5か月」後に「購入希望者」として決定されました。

 

会計検査院は、上記のように、長々と審査期間を設けたことは、「妥当なのか」ということで、財務省に理由を尋ねました。

 

 

財務省の説明

 

上記の「審査期間が長期化したこと」に対する、財務省の説明は、以下のとおりです。

 

財務省の説明) ※かみ砕いてまとめています。

 

森友学園は、財務省の審査と同時に、大阪府の「小学校設立認可の審査」を受けていました。

 

しかし、森友学園の資金計画などが、しっかりしたものではないので、大阪府が認可できない状態が続いていたんです。

 

この状態で、財務省の審査を打ち切りにしてしまうと、森友学園が小学校建設のための用地を失うこととなってしまいます。

 

言い換えると、財務省のせいで、森友学園の小学校建設が中止に追い込まれた」ということとなり、社会的な影響が大きくなります。

 

したがって、本件においては、大阪府の審査が続いている間は、財務省の審査も続けるべきだと考えていました。

 

会計検査院の見解

 

会計検査院は、上記の財務省の説明に対して、「一定の合理性が認められる」としており、問題点は何も指摘しませんでした。

 

私もそう思いました。

 

貸付から売却に至るまで

 
なぜ売却前に「貸付」が行われたのか

 

通常であれば、国有地の購入希望者が決定すれば、その後、売却の手続きに入ります。

 

しかし、本件は、森友学園への「貸付」が行われた後、「売却」の手続きを行っております。

 

これは、森友学園資金力不足によるもので、国有地の「購入」を行うだけの手持資金がなかったため、「借入」を行う必要がありました。

 

しかし、「借入」を行ってしまうと、法人としての「負債」が増えてしまい、大阪府認可申請に影響してしまうこととなります。

 

なので、財務省「将来的に売却することを約束したうえで、貸付を行う」という特例措置を行いました。

 

この特例措置については、手続き的にも問題はなかったとされています。

 

地中ごみの存在と値引き問題

 

しかし、問題は、その後です。

 

森友学園が、貸付を受け、大阪府の認可も下り、小学校建設工事に着手したときのことです。

 

地中から大量のごみがでてきました。

 

国も地中にごみがあることは、知っていました。

 

問題は、国が想定していた以上に、大量のごみがでてきたことです。

 

これによって、状況は一変します。

 

森友学園が国に対し、「地中ごみを撤去せよ」と要求が始まります。

 

しかし、国がごみ撤去を行うには、予算措置や入札・契約手続きに時間を要してしまいます。

 

かつ、森友学園が予定していた「小学校の開校予定時期」に間に合わない可能性が非常に高いことが予想されていました。

 

そして、森友学園側の弁護士から、「もし開校が遅れたら、国に対し、損害賠償請求することとなる」と言われておりました。

 

そんな中、両者にとっての解決策となる「土地代金から、ごみ撤去費用を値引きする」という案が森友学園側から提示され、国側もこれを承諾しました。

 

そして、これに対し、会計検査院は、事実の整理を行うにとどまり、特に意見を述べてはいません。

 

つまり、上記の経緯自体には、「特に問題は、見当たらなかった」ということです。

 

 

本日の記事は、ここまでです。

 

明日以降の記事では、いよいよ「国有地の貸付価格や売却額の妥当性」について、触れていきたいと思います。