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【森友問題】文書改ざんによって削除された内容とは

 

財務省は、平成30年3月12日、森友問題に関する改ざん文書をホームページで公表しました。そのうち、財務省理財局が作成した文書に、森友学園への国有地貸付に至るまでの経緯が以下のとおり記載されています。なお、下線箇所は、書き換え後の文書には記載されていなかったものです。

出典:決裁文書に関する調査について : 財務省

 

特例承認の決裁文書① 「普通財産の貸付けに係る承認申請について」(平成27年2月4日)【書き換え前】

 

  • H25.6.28 学校法人森友学圏籠池理事長が近畿財務局へ来所。 小学校用地として本件土地の取得を検討している旨を聴取。 近畿財務局は取得要望書の提出等、必要となる手続きについて説明。
  • H25.7.8 学校法人森友学園籠池理事長が近畿局へ架電。 本件土地の取得要望を提出する予定である旨の電話連絡。
  • H25.8.13 鴻池祥肇議員●●秘書から近畿局へ照会(受電)。 籠池理事長が、本件土地について講入するまでの間、貸付けを受ける ことを希望しており、大阪航空局に直接相談したいとの要請を受ける。
  • H25.8.21 学校法人森友学園籠池理事長が大阪航空局に来局(財務局同席) 本件土地については、学校経営が安定する平成35年3月頃までは貸付けを受け、その後購入することを希望している旨を聴取。
  • H25.9.2 森友学園が本件の取得要望書を近畿財務局へ提出。
  • H25.9.12 近畿財務局が小学校設置認可権限を有する大阪府私学・大学課に訪問し、今後の連携について要請。
  • H25.10.30 近畿財務局が小学校設置認可権限を有する大阪府私学・大学課に認可の事前査状況について照会。審査できる書類が整っていない状況である旨を確認。
  • H26.2.3 大阪府私学・大学課に認可の状況について照会。 森友学園から相談は受けているが、資金計画の妥当性が説明できる 資料の提出がなく、小学校新設の計画書を正式に受理した状況にない旨 を確認。
  • H26.4.15 森友学園から、計画している平成28年4月の開校に向けて豊中市との開発協議を急ぐ必要があるため、大阪府私立学校審議会の結果(認可適当の答申) を契約の停止条件として国有地を先行して貸付けてほしいとの要請があり、 近畿財務局は、国有財産近畿地方審議会及び大阪府私立学校審議会の答申を得る前の契約はできないとして断る。
  • H26.4.28 近畿財務局から森友学園に対し、資料提出を速やかに行うよう要請したところ、森友学園から、①当初計画していた本年7月の大阪府私立学校審議会 への諮問を本年12月に変更したいので、その前提で対応してほしいとの要望とともに、 ②豊中市との開発協議を急ぐ必要があるため、大阪府が小学校新設に係る設置計画回答書を受理した段階で、近畿財務局から豊中市に「森友学園と本財産の契約を締結することを証する」 旨の文書を提出してもらいたいとの要望あり。なお、打ち合わせの際、「本年4月25日、安倍昭総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』 とのお言葉をいただいた。」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)。
  • H26.6.2 近畿財務局から森友学園に対し、①当局の審査を延長すること、②豊中市に対して、開発行為等に係る手続きのみを可能とする「承諾書」を 豊中市へ提出すること、③売払いを前提とした貸付については協力させていただく旨を回答。
  • H26.6.30 開発行為等の手続きのみを実施可能とする「承諾書」を豊中市へ提出。
  • H26.8.29 大阪府森友学園の設置計画書を正式受理し、平成26年12月定例私立学校審議会で本件諮問に向けて事務を進めることと決定。
  • H26.10.2 近畿財務局から大阪府私学・大学課に対して、審査基準(総負債比率制限)について照会。 森友学園が本地を購入するために銀行等から借り入れを行う場合だけでなく、延納売払いの場合でも 延納額が負債として計上されることを確認(現状の収支計画では審査基準に抵触し、本地を即購入することができないことを確認)
  • H26.10.7 近畿財務局から森友学園に対し、あらためて現状の収支計画を改善することにより、 本地を即購入することができないか検討を依頼(延納売払い及び分割売払い(建物敷地のみ先行取得)も含む)。
  • H26.10.15 森友学園から近畿財務局に対し、関r年法人の資産売却や付近の増加などについて検討したものの、すぐに収支計画を改善することは不可能であるため、大阪府の審査基準に抵触しないで 本地を即購入することはできない旨の回答有。
  • H26.10.31 大阪府森友学園の設置認可申請書を正式受理。
  • H26.12.17 近畿財務局から森友学園に、契約に向けての今後のスケジュール、予定している契約書式について説明。
  • H26.12.18 大阪府定例私立小学校審議会において、児童数確保が見込める根拠資料の不足などの理由から 本件小学校設置計画が継続審議とされ、大阪府は、森友学園から追加資料を求めて平成27年1月中に同審議会の臨時会を開催することとした。
  • H27.1.8 産経新聞社のインターネット記事(産経WEST産経オンライン【関西の議論】)に 森友学園が小学校運営に乗り出している旨の記事が掲載。 記事の中で、安倍首相夫人が森友学園に訪問した際、学園の教育方針に感涙した旨が記載される。
  • H27.1.9 近畿財務局が森友学園を訪問し、国の貸付料の概算額を伝える。
  • H27.1.15 森友学園国土交通省北川イッセイ副大臣秘書官に「近畿財務局から示された概算貸付料が高額であり、 副大臣に面会したい。」と要請。 国土交通省は、「貸付料は近畿財務局において決定する内容であるため、面会しても意味はなさない。」旨解答。
  • H27.1.27 大阪府私立学校審議会の臨時会において、本件小学校設置計画が 以下の状況を付されて「認可適当」の答申を得る。 (条件)「小学校建設に係る工事請負契約の締結状況、寄付金の受入れ状況、詳細なカリキュラム及び 入学志願者の出願状況、開校に向けた進捗状況を、次回以降の当審議会定例会において報告すること。」
  • H27.1.29 平沼赳夫衆議院議員秘書から財務省に「近畿財務局から森友学園に示された概算貸付料が高額であり、 何とかならないか。」と相談。 財務省は、「法律に基づき適正な時価を算出する必要があるため、価格についてはどうにもならないこと、 本件については学校の設立趣旨を理解し、これまで出来るだけの支援をしていること。」を説明。
  • H27.2.10 国有財産近畿地方審議会において、本地を学校法人に小学校敷地として売払いを前提とした 10年間の事業用定期借地契約(時価貸付)行うことについて処理適当の答申を得る。
  • H27.2.12 森友学園が、大阪府教育記者クラブにて小学校の解説について記者発表。 出席者は、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞から用地に関する質問があり、学園は、底地は国有地で 借受予定と説明。
  • H27.2.16 鳩山邦夫衆議院議員秘書が近畿財務局に来局し「森友学園が近畿財務局から国有地を借り受ける件について相談したい。」との連絡。
  • H27.2.17 鳩山邦夫衆議院議員秘書が国会連絡室に「森友学園が近畿財務局から森友学園に示された概算額が高額であり、何とかならないか。」と相談。 近畿財務局はH27.1.29の財務省対応と同様な説明を行う。
  • H27.3.13 森友学園と貸付料の見積合わせを実施。学園は、事前に伝えている概算金額から相当に低い額の 見積書提示を繰り返し(3回)、見積合わせ不調となる。
  • H27.3.26 森友学園理事長が弁護士と来局し、昨年10月に実施した本地のボーリング調査結果を提示し、本地が軟弱地盤であり多額の 建物基礎杭等の工事費を要するとして、貸付料の減額と国による杭工事の工事費負担を要請される(具体的な要請金額の提示はなし)。
  • H27.4.2 森友学園委託設計業者をヒヤリング。校舎の基礎工事について通常の設計より杭の本数を多く必要とする見込みであるが、 現在、建物設計中であるため、詳しい内容を説明できる状況ではないとの説明を受ける。
  • H27.4.17 森友学園に対して、ボーリング調査結果はこれまで認識していなかった価格形成要因と 判断されるため、貸付料の修正を検討するが、建物基礎杭工事等の地耐力不足に起因する費用の支払いは、 行わないと説明。学園はこれを了解。
  • H27.4.28 再評価に基づく貸付料により、見積合わせを実施。

 

【まとめ・感想】

上記のように、書き換え後の文書は、書き換え前の文書のほとんどの部分が削除されていました。同時に、財務省や近畿財務局が極端に不適切な対応をとっているようにも見受けられませんでした。

一方、「森友学園への貸付料が高額であるので、何とかならないか」という旨の申し入れを行っている自民党議員(秘書を含む)が数名記載されているのは、見過ごすことができないところです。しかも、これらの議員を調べていくと、ある政治家と非常に関係が近いこともわかります。

財務省側でそこまで不適正な対応をしていたわけでもないのにもかかわらず、財務省理財局がそこまで必死に隠す必要性はあったのでしょうか。単に国会対応に疲弊していただけなのでしょうか。それとも、理財局よりも、「もっと上」からの指示だったのでしょうか。真相は謎のままです。

 

※あくまで一個人の見解です。