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【森友問題】財務省の公表資料から時系列を整理してみた(詳細版)

平成30年6月4日、財務省が「森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書」を公表しました。
しかし、この資料は、一読するだけでは、時系列が非常につかみにくい構成となっているため、以下のとおり箇条書きでまとめてみました。
 
 

【組織について】

 
財務省理財局
  • 総務課(理財局の各課室のとりまとめ)
  • 国有財産企画課(国有財産行政に関する各課室の業務とりまとめ)
  • 国有財産業務課(国有財産のうち、普通財産についての財務局への対応)
  • 国有財産審理室(国有財産業務課内に設置された森友案件についての国会対応や財務局との調整窓口)
 
近畿財務局
  • 管財部(普通財産の売払いに関する実務)
 
  • 大阪航空局(元々は、航空機騒音対策のため民地を買上げしたが、区域縮小により対象地を売払う旨を財務局に依頼)


【売買契約締結に至るまで】

  • H25.4 大阪航空局から近畿財務局に売却依頼
  • H25.6 公的取得要望受付(近畿財務局)
  • H27.2.4 特例申請(近畿財務局⇒理財局、貸付期間3年超の場合、理財局長の承認により特例処理が可能)…「文書4」
  • H27.4.30 特例申請の承認(理財局⇒近畿財務局)…「文書5」
  • H27.5.29 貸付契約締結(近畿財務局⇔森友学園、事業用定期借地契約、10年)
  • H27.6.8 公正証書の取り交わし(近畿財務局⇔森友学園
  • H28.3 森友学園が生活ごみを含めた地下埋設物を発見、森友学園から売買契約の意思表示
  • H28.4.28 貸付決議①(近畿財務局⇒森友学園)するも、森友学園との調整が整わず…「文書1」
  • H28.5.29 貸付決議②(近畿財務局⇒森友学園)…「文書2」
  • H28.5.31 予定価格(売払価格)の決定及び相手方への通知(近畿財務局→森友学園
  • H28.6.14 鑑定額から撤去費用を差し引く旨の決議(近畿財務局)…「文書3」
  • H28.6.20 売買契約の締結(近畿財務局⇔森友学園

【改ざんが行われた決裁文書】

  • 文書1(貸付決議①)
  • 文書2(貸付決議②)
  • 文書3(売払決議)
  • 文書4(特例申請)
  • 文書5(特例承認)

なお、上記書き換え文書については、財務省ホームページで公開されています。

https://www.mof.go.jp/public_relations/statement/other/201803B.pdf


【森友問題が報道されてからの流れ】

  • H29.2.9 森友学園について報道(価格が非公表、売却額が隣接地の10分の1、森友学園の名誉校長が首相妻等)
  • H29.2.10 売却価格を公表
  • H29.2.13 理財局が財務大臣に森友案件について説明
  • H29.2.14 森友学園理事長が埋設物の実際の撤去費用について「1億円くらいかな」と発言
  • H29.2.15 森友学園問題が国会の審議で初めて本格的に取り上げられる
  • H29.2.20 衆議院予算委員会で理財局長が「相手方において適切に撤去したというふに聞いてございますが、売却後でございますので、具体的な撤去の状況につきましては把握してございません」と答弁
  • H29.2.21 国会議員団による現地視察、大阪航空局と面会(近畿財務局管財部長、管財次長、統括国有財産管理官、国有財産審理室長が同席)
  • H29.2.22 理財局と航空局から内閣官房長官への説明(取引価格は適正)
  • 同日 国会議員より、森友学園側との応接録の存否についての確認
  • H29.2.23 一部政党より、平成25年か26年にかけての財務省及び近畿財務局職員と森友学園側の接触記録の存否について、無いならば無い旨を書面で提出するよう要求
  • H29.2.24 平成28年6月20日の売買契約をもって「事案終了」とし、記録はない旨の書面を提出
  • 同日 衆議院予算委員会において理財局長が「昨年6月の売買契約に至るまでの財務局と学園側の交渉記録につきまして、委員からのご依頼を受けまして確認しましたところ、近畿財務局と森友学園との交渉記録というのはございませんでした」「面会等の記録につきましては、財務省の行政文書管理規則に基づきまして保存期間1年未満とされておりまして、具体的な廃棄時期は、事案の終了ということで取り扱いをさせていただいております。したがいまして、本件につきましては、平成28年6月の売買契約締結をもちまして既に事案が終了してございますので、記録が残っていないということでございます。」と答弁
  • H29.2.26 「文書5(特例承認)」について、国有財産審理室長及び配下の同室職員が、国有財産企画課長にも報告のうえ、政治関係者からの照会状況等が記載された経緯部分を削除するなどの具体的作業を実施
  • 同日(日曜日) 理財局から近畿財務局管財部職員に出勤を要請、国有財産審理室の職員から、「文書5(特例承認)」と同様の書き換えを行うよう具体的に指示、近畿財務局管財部次長及び統括国有財産管理官以下の職員は、指示のとおり作業を実施、その他、「文書1(貸付決議)」や「文書3(売払決議)」等についても、各種経緯が記載された箇所の短縮化等を指示
  • H29.2.27 国有財産企画課及び国有財産審理室から理財局に対して、「文書3(売払決議)」の内容を報告、理財局長は「このままでは外には出せない」と反応
  • H29.3 財務省職員を刑事告発する動きが報道
  • H29.3.2 参議院予算委員会において、国会議員から、森友案件に関する決裁文書を同委員会に提出するよう要求
  • H29.3.3~3.8 近畿財務局が各種決裁文書をスキャンして電子ファイル化し、理財局に送付
  • H29.3.6 参議院予算委員会において、会計検査院に対する会計検査の要請
  • H29.3.7 会計検査院が上記要請を受諾
  • 同日 国有財産審理室の職員から近畿財務局に対して「文書1(貸付決議①)」や「文書3(売払決議)」等の書き換え案が送付(小幅な書き換え)
    H29.3.8 理財局長を含めた議論を行い、「貸付契約までの経緯の記述を全て削除」、「国土交通省大坂航空局の対応状況を削除」等の更なる書き換え案が近畿財務局に対して提示
  • ~H29.3.8まで 近畿財務局の統括国有財産管理官の配下職員は、改ざんへの強い抵抗感から、理財局からの指示に強く反発し、管財部長への相談を行っていた
  • H29.3.15 国会議員から、H29.2.8移行の数日間の森友学園側との接触記録を衆議院財務金融委員会に提出するよう要求
  • H29.3.20 理財局長を含めた議論の際、同年2~3月までの国会答弁を踏まえた内容とするよう念押し(理財局長も決裁文書の書き換えについて認識)
  • H29.3.21 「文書1(貸付決議①)」や「文書3(売払決議)」について、売払いに至る経緯を加筆した案が作成され、近畿財務局に共有される 
  • H29.4.4 国有財産審理長が文書管理責任者の権限を設定された国有財産審理室の職員に対し、文書管理システムにログインさせ、決裁文書の更新を行わせる
  • H29.4上旬 財務省総務課長から局長に対して、近畿財務局側には強い抵抗感があるとの状況が報告、理財局長は、「必要な書き換えは行う必要がある」との反応、国有財産室長から近畿財務局の管財部次長に対してもこの内容が伝達、配下の国有財産審理室の職員がその時点までに作成していた各種決裁文書の書き換え案が改めて送付された
  • H29.4.8 管財部次長が理財局の指示を踏まえた作業を実施
  • H29.4.10 国有財産審理室長及び管財部長に上記状況を伝達、国有財産審理室長から理財局総務課長にも報告
  • H29.4下旬 国土交通省工区局から、近く会計検査院に書類を提出する旨の連絡を受けた国有財産審理室が、国土交通省航空局に出向き、近畿財務局が作成した決裁文書の差し替えを行った(国土交通省航空局は、差し替え前の元々の資料を会計検査院に提出)
  • H29.4.21 改ざん後の決裁文書一式の写しを会計検査院に提出
  • H29.5 東京地方裁判所に証拠保全の申し立てが行われる
  • H29.5.2 H29.3.3に請求を受けた情報開示請求に対して、改ざん後の「文書3(売払決議)」を提出
  • H29.5.8 改ざん後の「文書3(売払決議)」を参議院予算委員会理事会に提出
  • H29.5上旬 会計検査院から近畿財務局に対して、財務省国土交通省が提出した「文書1(貸付決議①)」等について、内容の相違や過不足がある旨の照会が行われ、国有財産審理室は、財務省のものが最終版である旨を回答するよう、近畿財務局の担当職員に伝達
  • H29.11.22 会計検査院による検査結果が報告
  • H30.3.26 財務省が改ざんされた文書を公表
  • H30.6.4 財務省が調査報告書を公表

 

【まとめ・感想】

理財局長が「このままでは外に出せない」等の発言をしていることや、国有財産審理室が「改ざん案」なるものを近畿財務局に提示したりしていることから、近畿財務局は、財務省理財局の指示によって、改ざんを迫られたような印象を受けました。

本報告書は、重要な部分の日付が抜けていたり、曖昧な表現で止められている箇所があったりと、未だに何かを隠しているような雰囲気を感じてなりません。

なお、文書の改ざんの内容については、こちらの記事を参照ください。

sato-shun.hatenablog.com

 

※あくまで一個人の見解です。