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【森友問題】土地代金の妥当性について検証してみた①

今回は、森友問題の一つである「土地代金の妥当性」についての記事です。
 
朝日新聞では、森友学園が大阪の国有地を適正価格の1割で購入していた」等と報道してており(2017年2月9日)、「総理が財務省に指示し、森友学園に安値で国有地を売却したのではないか」と国会で連日話題となりましたが、様々な情報が飛び交い、真相については分からないままの方が多いと思います。
 
今回は、「売買代金が妥当だったのか」について、客観的な指標を元に検証してみました。


【前提】

前提として、本件については、不動産鑑定士による評価額から、ごみ撤去費用が差し引かれています。
  • 不動産鑑定評価額:9億5600万円…(A)
  • ごみ撤去費用:約8億2000万円…(B)
  • 売買代金:1億3400万円…(C)=(A)-(B)
ちなみに、朝日新聞による報道は、上記の(C)のことを指しています。
 
したがって、本件の妥当性を確認するには、
「不動産鑑定評価額」と「ごみ撤去費用」のそれぞれについて、検証する必要があります。


【基礎情報】

対象地は、「瑞穂の國記念小學院(みづほのくにきねんせうがくゐん)」です。


住所は、ウィキペディアに掲載されているので、当該住所を基に、「地理院地図」や「google map」で現地を確認します。

 
対象地の面積は、一部報道により「約8,770㎡」とされています。
ちなみに、「地理院地図」でざっくり計測してみると、「8,519㎡」と、割と近似値でした。

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【不動産鑑定評価額について】

対象地8770㎡とすると、不動産鑑定評価額の1㎡あたり単価は、
9億5600万円÷8770㎡=109,007円(約11万円/㎡)となります。
 
今回は、この11万円/㎡の妥当性について検証していきます。
 
通常、土地の評価額の妥当性を確認するには、地価公示や地価調査による価額や相続税・固定資産税の路線価等を参照します。
 
したがって、以下、付近の公示価額等と相続税路線価を確認します。
 
(参考)公示価額や路線価の説明については、こちら
公示価額:

https://www.athome.co.jp/contents/words/term_2144/

路線価:
なお、公示価額や路線価等は、「全国地価マップ」で簡単に調べられます。

①付近の公示価格等

※学校の建設は、建築基準法上、準工業地域、第一種住居地域ともにOK。
※なお、対象地は、第一種住居地域にあるので、豊中-16の方がより近い価額であると思います。
 
上記より、13万円~19万円円/㎡程度が周辺地域内での標準価額であると思われます。
 

相続税路線価

対象地は、以下の3つの路線価に囲まれています。
  • 120,000円/㎡ 
  • 135,000円/㎡
  • 145,000円/㎡
相続税路線価は公示価格の80%程度なので、上記価額を割り戻すと、
  • 120,000円/㎡×100/80=150,000円 
  • 135,000円/㎡×100/80=168,750円
  • 145,000円/㎡×100/80=181,250円
となります。
 
上記から、画地条件等の諸々の補正を加えることとなりますが、ざっくり考えれば、15万円/㎡~18万円/㎡程度といったところが対象地の公示価格相当額といえます。
 

③個別的要因の検証

さらに、対象地の個別的な要因を検証していきます。
対象地を「地理院地図」や「google map」で確認すると、以下のことが分かります。
  • 名神高速道路」が近接していることによって南側の日照条件がやや悪化する。
  • 「野田中央第2公園」によって、不整形な形状となっている。
上記の要因が、若干のマイナスポイントとなりそうです。
なお、このあたりの具体的な減価率は、不動産鑑定士が判断していくこととなります。
 

 【結論】

上記①~③を考慮すると、鑑定価額である11万円/㎡は、妥当な範囲であると思います。

 

ちなみに、不動産を不当な価額で評価した場合には、「不動産の鑑定評価に関する法律」によって、資格登録が消除される等の罰則規定があることからも、鑑定士があえてリスクを冒して不当な評価をすることは、非常に考えにくいです。
 

次回の記事では、「ごみ撤去費用について」の検証をしていきます。
 
※あくまで一個人による見解です。